パッケージ幸福論Ⅱ 今こそジーケッパ 2009年 10月26日~11月8日

昨年は急激な景気の冷え込みや、深刻化する環境問題などを、すこし先のこととして想定しながら、「低レベル安定社会」という新たな幸福のありかたを探りました。その時期、私たちをとりまく状況は想像もしなかったようなスピードで変化をとげ、展覧会を開催した2008年の年末にはすでに私たちの頭上には経済状況の悪化がもたらすさまざまな暗雲がたちこめていたのです。昨年の展覧会経験から顕在化した課題と、さらに深刻化する現状を踏まえ、同メンバーが2009年10月に再度展覧会を行います。日々目にするニュースは決して明るいものではありません。環境破壊や不況に起因する若年貧困層など、複数の問題が立ちはだかる現状。デザイナーである彼らは社会にたいして、自分にたいして身動きがとれなくなってしまっているのではないでしょうか。そんな中、中島氏は事態を好転する答えはひとつではないという結論に達し、もはやデザイナー個々の異なる視点のみが打破、転換、初期化できるのではないかと考えました。タイトルに冠した「ジーケッパ」とは、これまでの保護や販売促進、情報伝達などさまざま役割を課されたいわゆる「パッケージ」の概念をひっくりかえす、または、はじまりにもどる、ことを意味した本展覧会に誕生した造語。閉塞した中から一歩を踏み出すためのおまじないの言葉です。”パッケージデザインの転換力”、デザイナーによって根源とも言えるテーマを問いかけます。各自が取り上げる題材は鰹節から骨壷まで様々。反転したデザインは私たちに様々な視点を与えてくれるでしょう。この一年間、デザイナーたちは実際に農作業にかかわる体験をしながら答えを模索し続けました。いよいよ収穫の季節です。


[ 参加デザイナー ]
 赤井 尚子(コーセー)
 石田 清志(underline graphic
 石浦 弘幸(サントリー)
 大上 一重(鹿目デザイン事務所)
 小野 太士(ポーラ)
 木村 雅彦 (GKグラフィックス )
 近藤 香織 (資生堂)
 近藤 真弓(GKグラフィックス)
 杉山 ユキ(博報堂)
 田中 健一(コーセー)
 長崎 佑香 (資生堂)
 松田 澄子 (中塚広告事務所)
 山﨑 茂(コーセー)

[ 2009年の出来事 ]

 バラク・オバマが米大統領就任
 マイケル・ジャクソンが死去
 米GMが破産法申請