パッケージ幸福論 第10回企画展 「遊び頭」 2018年 10月22日~11月4日
19世紀後半イギリスで起こった産業革命によって大量生産大量消費を前提とする産業社会が成立していった。これによって大勢の「手作り職人」の職が奪われた。そんな社会を背景にアーツアンドクラフツ運動が起こって近代デザインが生まれ、やがてデザイナーの職能が確立されていく。その後1960年に東京で開催された「世界デザイン会議」での「東京宣言」によって、各国でまちまちやった「デザイン」という言葉が世界共通の概念として謳われた。
東京宣言--来るべき時代が、人間の権威ある生活の確立のために、現代より一層力強い人間の創造的活動を必要としていることを確信し、われわれデザイナーに課せられた責任が重大である事を自覚する。--
すごい宣言やね。デザイナーこそが未来を切り開くんや!という希望に満ちた宣言。今から60年近く前。でも当時のデザイナー達はその数年前から開発が進められたコンピュータによって21世紀に情報革命が起こり、それによってデザイナーの仕事が奪われていく事態となることなんか微塵も想像していなかったと思う。
今、情報革命によってデザイナーの仕事が奪われようとしている。ことにAdobe sensei に代表される人工知能は人間の情報処理能力をはるかに上回り、加速度的に進化している。えらいこっちゃ!東京宣言にあった「人間の権威ある生活の確立」の逆の事態となってきている。ただ、人工知能は問題に正解を出すエキスパート。僕らの人生の厄介なところは、正解のない問いに答えを出さなあかんこと。だからクリエイティブが必要とされるのではないか。「正解のない問いに納得度の高い解決策を提案できる力」それがクリエイティブや、と僕は思うんです。ほんでその核に存在してると僕が睨んでるのが「遊び頭」です。正解のある問いに情報力と理屈を駆使して解答を導く「仕事頭」これに対して、根拠レスやし突拍子もないけど現状を打破してみんなを幸せにできる感じを創出するのが「遊び頭」正解がないのにみんなを幸せにできるナニカ、それが「遊び頭」です。幸福とはなにか?クリエイティブは人間の幸福にどう関係するのか、という探求を続ける我らパッケージ幸福論の今年のテーマはそういうわけで「遊び頭」です。
「仕事頭」をどんだけ封印して遊んでるか、そこが見所。そして、来るべき時代が人間の幸せのために、もっともっとクリエイティブせなあかんことを確信し、そんでそれはわれわれデザイナーの仕事なんや、ということを自覚する、今の社会におけるち ょっとした東京宣言になれば、と思っています。
[ 参加デザイナー ]
赤井尚子(コーセー)
石田清志(underline graphic)
石浦弘幸(サントリー)
井上大器(ソニー)
大上一重(OUE DESIGN)
籠谷 隆(大日本印刷)
木村雅彦(GKグラフィックス)
近藤香織(資生堂)
杉山ユキ(博報堂)
田中健一(コトリデザインスタンダード)
富田真弓(GKグラフィックス)
廣瀬 賢一(ソニー)
松田澄子(タイガー&デザイン)
山﨑 茂 (コーセー)
湯本 逸郎(花王 )
[ 2018年の出来事 ]
史上初の米朝首脳会談が開催
西日本豪雨、北海道地震
働き方改革