俺のパッケージ 2017年 9月18日~10月1日
鹿目尚志先生へ感謝の言葉
昨年の年末、ここ5610で「パッケージ幸福論のクリスマス」というグループ展を終えた時のことでした。鹿目先生が僕たちに雷を落とされました。
「俺にとって『パッケージ』とは、これなんだ!俺にとって『パッケージデザイン』とはこういうことなんだ!俺にとってこれが『デザイン』なんだ!ということを表現しないで展覧会なんかやってもしょうがないだろ!」と。
今から9年前、企業で働くインハウスデザイナー達を集めて、鹿目先生が「制約を受けない自由な発想で作品を作って展覧会をやってみようよ」と呼び掛けてくださいました。
その時、東京に出てくる前からお世話になっていた僕に「信也くん、みんなを引っ張ってく、展覧会のディレクターをやってよ」とお誘いを受けました。それが「パッケージ幸福論」の始まりです。
何も考えずにとにかく作りきった最初の展覧会は何とかなったのですが、回を重ねるごとに先生の顔が厳しくなっていきました。そして8回目の昨年、たぶん、先生のいらだちがピークを迎えたんだと思います。
それは、僕たちの仕事であるデザインやクリエイティブという大切な大切なものが、産業のしもべに成り下がってしまっているのではないか、という強い危機感のあらわれだったのだと思います。
よし!9回目の今回こそ、鹿目先生に認めてもらえるような展示をしようじゃないか、と僕たちはこれまでになく燃えていたのです。
でも、先生は今回の展覧会が始まる前に遠くへ旅立たれました。
先生の、命の限りを尽くした茂木での展覧会、そしてここ5610での、壮絶の限りを尽くした先生の展覧会に僕たちはあらためて衝撃を受け、打ちのめされ、自分たちの小ささを思い知らされました。でも、先生の最後のこの二つの展覧会から僕たちが絶大なエネルギーを頂いたことも確かです。
ワイングラス片手に叱ってくださる先生のお姿が見えないのはものすごくさびしいです。でも、僕たちの中に先生はしっかりと生き続けておられます。先生からいただいたメッセージは僕たちの心の中に、一生消え去ることのない言葉として強く強く刻まれています。
先生、これからも僕たちはいつも、先生のまなざしのもとで、けっして先生をがっかりさせることのないようになんとか頑張って、クリエイターとしての人生をしっかりと歩んでいこうと思います。
鹿目先生、ほんとうにありがとうございました。そして、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
[ 参加デザイナー ]
赤井尚子(コーセー)
石田清志(underline graphic)
石浦弘幸(サントリー)
井上大器(ソニー)
大上一重(鹿目デザイン事務所 )
籠谷隆(大日本印刷)
近藤香織(資生堂)
杉山ユキ(博報堂)
田中健一(コトリデザインスタンダード)
長崎佑香 (資生堂)
廣瀬 賢一(ソニー)
松田澄子(タイガー&デザイン)
山﨑 茂 (コーセー)
湯本 逸郎(花王 )
[ 2017年の出来事 ]
トランプ米大統領が就任
九州北部豪雨災害
「森友」「加計」「日報」問題